取り調べの可視化?
中日新聞のネットニュースからです。
====
(1) 保険金殺人の共犯として殺人罪などに問われ、取り調べ状況のDVD録画が初めて証拠採用された事件で、被告は当初否認したが、その後、殺害への関与を自白。その様子がDVD録画された後、再び否認に転じており、東京地裁の判決がDVD映像をどう評価するかが注目される。弁護側は最終弁論で「虚偽の自白をさせられた。わずか10分間の録画では、深夜に及ぶ取り調べが任意だったかは分からない」と述べ、殺人罪について無罪を主張した。
(2) 大阪地検が、殺人未遂罪に問われた80代の男性被告の検察官による取り調べの様子を録画したDVD映像を、公判前に弁護側に証拠開示していたことが19日、分かった。
(3) 取り調べの録音・録画は、自白の任意性を立証するものとして、2009年に始まる裁判員制度に向け、各地検が試行している
(4) 日弁連取調べの可視化実現本部事務局長の秋田真志弁護士は「一歩前進だが、自白を強要しているシーンは録画しないといった良いとこ取りの危険性もある。あくまで全過程の可視化を求めていきたい」と話している。
====
(1)について
(イ)否認しているときの様子、否認から自白に転じる過程の子細、その後自白する様子、そして、更に否認に転じる過程の子細―もし、可視化することに合理的理由があるとするならば、こうした子細を可視化しなければ、ごまかし裁判が増えるばかりとなるでしょう。否認から自白に転じるまでの長い時間の間に、威迫・誘導が行われているのは日本の刑事司法の常態だからです。そして、否認から自白に転じる過程に於いて、捜査機関側が、犯行の子細のシナリオを何度も押しつけまくり、いわば脳裏に刷り込んで洗脳しているものです。
(ロ)大阪地検の女性検事は、強姦罪で告訴した被害者に対し、行為時に濡れていたのだから合意があったことになる、とうそぶいているそうです。性行為の盛りに於いては、強姦の被害者であれ、成熟しているならば、濡れるのは当然です。それは、合意云々ではなくして、単なる生理的反応です。
(ハ)(イ)と(ロ)に共通点があるのにお気づきでしょうか?被疑者が、警察・検察に押しつけられたシナリオ通りにスラスラと「自白」しているところだけを見れば、「任意」に自白していると見なされてしまうでしょう。同様に、性行為の盛りだけを取り出してみれば、確かに被害者は濡れていたのだから、「合意」があったということにされ易いのではないでしょうか?
(2)について
(イ)殺人未遂罪の被疑者が80代というのも驚くべきことではないでしょうか?
(ロ)公判前に証拠開示するのは当たり前のことです。そもそも、遅くとも勾留質問段階で一切の証拠開示を裁判所は検察側に命じなければならないのです。証拠開示という「制度」は、イギリスでは、この段階で検察側が証拠開示しなければ、勾留申請が却下されるのが慣例化したためにうまれたものなのです。
(3)について
自白の任意性は、つまみ食い的な可視化では、却って悪用されやすいでしょう。
可視化することよりも、逮捕時から弁護士を付けることを義務づけるべきです。
そもそも、取り調べというもの自体が、余りにも無意味というか、こじつけのために濫用されすぎていると思います。まして、異様に長期に亘る勾留が常態化していること自体が、日本の刑事司法の無法振りを定礎しているのです。
自白の任意性を判断する際には、合理的な推論に定礎され得るかどうかという視点も重要だと思います。
(4)について
一応はもっともな意見なのですが、被疑者にしてみれば、撮影される筋合いはない、という気持ちもあるでしょう。誤認逮捕に違法な長期拘留、そして、拷問・威迫・誘導ときている以上、せめて肖像権ぐらいは守りたいと思うのではないでしょうか?
TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/19422/16507449
Listed below are links to weblogs that reference 取り調べの可視化?:
» 100万人の変態探し [100万人の変態探し]
変態って言われると興奮して濡れちゃいますぅ! [Read More]
Tracked on 2007.09.20 at 06:36 AM

Comments